ぉゔぇ記

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カイオ選手に対する差別ツイートの話。

浦和レッズサポーターと思われる大学生が、先週土曜日の試合で鹿島アントラーズのカイオ選手に対し「カイオ黒人死ねよカス」とツイートし、それに対して処分が無かったり、ツイートした本人が浦和レッズとの面談をブッチした上で電話を着拒したり、それに対して浦和が法的措置も検討していたり、カイオのお父さんが泣いて悲しんでいたなどの話題がそれなりにTLを騒がしております。

 もちろん件のツイートについてはどう言い訳をしても明確な人種差別発言でして、ただの一つも擁護できる点はないのであります。サッカー界の発するSAY NO TO RACISMのメッセージに則って、ツイートした人物に対する断固たる処罰を浦和レッズないしはJリーグ日本サッカー協会に望むものであります。

 ただし、それに対して「これだから浦和(サポ)はダメ(カス、ゴミ)」などの意見も散見されたのであります。ん?そういうツイートをする人は事の本質をわかっていないのではないかな?と思いましたので、このように反応してみました。

 それなりに同意を得られたと思うのですが、案の定「似て非なるものだ」「トンチンカンだ」「浦和は前科があるだろ」「全然違うぞ」などの反論(になってないと思いますがね)も寄せられた次第です。なので少しブログできちんと説明してみたいと思います。

 差別には人種差別、性差別、身分(階級)差別、障害者差別など様々ありますが、どれも偏見や先入観によって特定の人物や集団に対し不利益、不正当な扱いをすることを指すということですね。例えば今回のように、カイオ選手に対し「黒人死ね」というのは、本人の責に帰するところが何もない肌の色をもってして、偏見や先入観を持って、「死ねカス」と言っているところが明確に問題となることは容易におわかりになるかと思います。

 では、これに対して「浦和サポはカス」と言うとどうなるでしょうか。なるほど、確かに浦和レッズのサポーターは問題を起こすことが多いように感じられますね。例えば人種差別の件でいえば、「JAPANESE ONLY」という横断幕の掲示、ガンバ大阪のパトリック選手に対する黒人差別ツイート、そして今回の件と少なくとも3回は大きなニュースになっております。他のチームでそこまで多くの人種差別案件が大きな問題となっている様子はあまり見聞きしたことがないですから、有意に件数としては多いかもしれませんし、浦和レッズはクラブ全体としてそのような差別防止に努めていく必要はあるかもしれません。

 その一方で、最初のJAPANESE ONLYという横断幕以外は、どちらも個人のツイートによるものです。つまり問題は「浦和レッズを応援していること」にはなく、個人の資質によるものであるとお分かりいただけると思います。つまり、責められるべきはその発言をした個人であって、浦和レッズサポーターという総体を罵倒することは、やはり偏見や先入観によって不正当に浦和サポーターを扱っているわけですね。

 わかりやすいようにいくつか例を出したいと思います。昨今イスラム原理主義組織を名乗る集団によるテロが頻発しております。ではそれをもってして、イスラム教の信者総体を罵倒することは許されることでしょうか。あるいは沖縄において、アメリカ軍による地元女性のレイプ事件もよく起こっております。ではそれをもってして沖縄にいるアメリカ軍全体を罵倒するのは正当でしょうか。日本でイギリス人女性を殺害した男性がいました。それをもってして、イギリスにおいて日本人男性全体が殺人鬼としてみなされることは正当でしょうか。

 いずれも人によって「差別だ」と言われても致し方無い話だと思いますが、そうは言われても「イスラム教徒は怖いなあ」「アメリカ軍は嫌だなあ」「浦和レッズサポは人種差別をするひどい奴らだ」などと思ってしまう側面があるのも、また人間だと思います。それ自体はありうることだと思うんですが、それは差別なんだぞということを認識し、公にしないのが大人の振る舞いではないかと思うのですが、いかがでしょうか。