ぉゔぇ記

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個人の誠実さが求められる時代

 2年前くらいから思ってたことだけど、なんとなくまとめておこうと思ったので書いておくことにする。

 時代の流れが早くなった。十年一昔、という言葉があるが、今や二年一昔くらいじゃないか。世の中がそれだけスピーディーになったとも言うし、それだけ時間的余裕がなくなったとも言えると思う。

 所属集団のメリットみたいなものが薄れてきたなあとも思う。どこの会社とか、どこの学校とかもまあ依然として大事な場面もあるとは思うけど、その人がどのようなスキルを持ち、何をやれる人かのほうがより重視されるようになったと思うし、個人が集まって企業などに対抗する事例もいくつも出てきた。

 個人の興味が細分化され、タコツボ化している時代だとも言える。国民的な関心事というのは極めて少なくなり、代わりに少数の人間が熱烈に支持するカルトヒーローは増えたと感じる。マスメディアは未だに大きな力は持っているが、以前ほどの力はない。

 社会正義というか、社会善に関心を持つ人も増えたようにも感じる。おバカな個人の悪行がネットで晒し者にされ、炎上するようになったり(炎上させる行動が善かどうかは極めて怪しいが)、あるいはそれによって救って貰える人が出てきているというのは、社会的に正しい行動がいかなるものか、というところに多くの人が関心を払っているということだろう。

 今あげたような変化は、どれも「個人が容易に情報を発信できる」「複雑化した情報過多」な時代になったゆえの変化だと思う。個人がそれぞれ情報を発信できるので、現代は必然的に情報過多の時代だ。当然全てを追うことは誰にもできず、必然的に自分の興味関心に近いところのみを追うようになる。すると関心はより細分化され、その中で起こる時の流れのスピードは今までよりも興味関心の強い人のみが集まっている分早くなる。ますます素人にはついていきにくくなり、皆が共感できるのは社会的な不正義に対してだけ、といった具合だ。

 

 そういう現代で、これまで以上に重要になっている価値は「誠実さ(インテグリティ)」とそこから生まれる「信用(クレディット)」ではないだろうか。

 まず各分野に詳しい人がそれなりにいて、しかも彼らが発信力を持つようになったので、これまでだったら何も知らない素人を騙せていたところが、騙しづらくなった。またそのような悪事がバレた際の「炎上」も、多くの人間が不正義に憤りをあらわにする時代にあって、これまで以上に影響が長続きし、またダメージも大きくなった。

 これは個人だけではなく企業でも同じように思う。PCデポが不要のサポート契約を老人に結ばせて大批判を浴びたのは記憶に新しいし、ブラック企業は労働者に対して全く誠実ではない振る舞いをしているからこそ批判を浴びるわけだ。誠実でないと言う意味でもっともマズいのはおそらく「隠蔽する」ことで、現状できていない、足りていないことを隠すよりも、正直にここはこのように足りていないが、今後このようにして改善していく予定だ、という見通しを出すほうが皆が信用するのではないか。今まさにこれを最悪のパターンでやっているのがNGT48だ。

 逆に、個人で発信が容易になったので、その人のキャラクター、特長が伝わりやすく、もちろん「価値がある」ことが前提ではあるが、誠実な活動にはクラウドファウンディングなどでお金が集まることも珍しくはない。また、そのような活動を続けて信用が大きくなると、今までは無名の個人に対してありえなかったオファーなどにつながることもある。

 個々の能力と発信力が非常に問われる現代だが、結局人として誠実かどうか、という一周回って昔ながらの価値が一番問われるような気がするなあ、というお話でした。