ぉゔぇ記

好きなことを好きなように書きます。

戦術の話。

 なんか深夜部内でちょっと戦術の話があったので、自分もまだまだたくさん見て勉強して考えなくてはいけない立場ではあるが、思うところを書いておく。

 僕は基本的にゴール裏で見ているので、すごく詳しく試合中に見れるわけではない。せいぜい、誰と誰がマッチアップしてるかとか、どこにスペースがあるのか、それをどう使おうとしているのかとか、そんな感じ。ただどういう方法やシステム(ポゼッションとかカウンターとかプレッシングとか4-4-2とか4-2-3-1とか3-5-2とか)を両チームが取っているかにかかわらず、海外のトップクラブから高校生に至るまで、普遍的に使え、何よりも試合結果に直結する部分として、次の2つだけはかかさず「結果」として見るので、挙げておきたい。逆にいうと当たり前の話で、戦術どうこう以前の話というか、この2つをどういう方法で実現し、阻止するかが「戦術」になる。

1, どれくらいDFラインの裏を使えているか(使われているか)
2, どれくらいバイタルエリアを使えているか(使われているか)

 まず1から。これはすごく大事だと思っている。DFラインの裏とは、画像で言うと①の部分。

サッカーで一番点が入りやすいのは、PKを除けば、流れの中からGKとの1対1のシュートだ。そのような場面を作るためには相手のDFラインの裏を取らなくてはいけない。裏を取るといっても別に必ずしもスルーパスでなくてはいけないということはない。例えばDFラインの前でボールを受けて、1人でDFラインを突破してしまうような強力なFW(ダヴィジュニーニョみたいな)がいた場合、そのFWが自分の前にいるDFを抜きさってGKと1対1のような状況を作れれば、その時点でDFラインの裏を使うという事に関しては出来ていることになる。それから、よく良いクロスとして扱われる、「DFとGKの間にクロスを上げる」というのもDFラインの裏を使っていることになる。

 前にも書いたように、この状態を作るためにどうするか、あるいは作らせないためにどうするかが「戦術」になる。例えば、モウリーニョはDFラインを深く引いて守らせて、インテル時代にチャンピオンズリーグで優勝したが、これは「相手にDFラインの裏を使わせない」ことが目的。バルセロナやスペイン代表は、ボールを持ち続けることで相手の裏を何度でも狙い続けられる、ということを考えている。縦ポン、いわゆるキック&ラッシュは、走力とフィジカルの強さがあるFWにボールを放り込むことで相手のDFラインを突破して裏を使おうとしている。

 しかしこれを防ぐためだけなら、モウリーニョのやったようにDFを下げてしまえば良い。少なくともDFラインの裏を使われることは非常に少なくなる。

 そこで、2つめ「どれくらいバイタルエリアを使えているか(使われているか)」という話になる。DFラインが下がると、バイタルエリアが空く。このスペースで自由にボールを持つことが出来れば、ミドルシュートを打ちまくれるし、うまい選手であればDFの裏の狭いスペースにスルーパスを通すことも可能だろう。万が一ファールでもされればとても危険な位置でのフリーキックになる。なので、守備側からすればDFラインの裏の次に、使われてはいけないスペースなわけだ。

 
 そこで守備側にとっては、バイタルエリアにいる敵を潰しに行くか、DFラインを低く保ったままにするかの判断が迫られることになる。バイタルエリアを開けたままにしておくのは非常に危険だが、バイタルエリアの敵を潰しに行くと、自分の裏にスペースができることになる。

 もちろんここに中盤の守備であったり、チャレンジ&カバーという、カバーリングの話であったりが出てきて、実際に起こっている事態はもっとずっと複雑なわけだが、試合を見るときに「DFラインの裏」「バイタルエリア」をどっちがよく使えているか、選手交代などはどういう方法でそのエリアを使おうと(あるいは使わせまいと)しているのかを考えてみると、見ていて戦術や選手交代の意図などへの理解が少し深まるのではないかと思う。