ぉゔぇ記

好きなことを好きなように書きます。

君は君の夢を。僕らは僕らの夢を。

 プロスポーツとは夢を売る商売だといわれる。とすると、プロスポーツ選手は夢を売りあるく営業マンのようなものだ。もちろん、必ずしも良い夢ばかりではなく、先週末のような悪夢を売りつけられることもあるのだが。

 

 『夢を叶えているスポーツクラブ』という観点から言えば、この5年ほどの北海道コンサドーレ札幌は日本のプロスポーツ界でもかなり上位にランクインされるに違いない。J2とJ1を行ったり来たり(といえばまだ聞こえはいいが、実際はJ2を主戦場にしていたのがヒョコっとたまに上がってすぐに叩きのめされる)していたチームが、J1に昇格し、残留し、上位に入り、そしてタイトルに挑戦するようになったのだから。

 2016、2017に在籍していた選手たちを「J1昇格、J1残留」という夢を売っていた選手たちと考えると、この2年ほどにやってきた選手たちは「J1上位進出、タイトル挑戦」という新たな夢を売りに来た選手たちと言えると思う。その筆頭が鈴木武蔵だった。

 そもそもの獲得経緯が、札幌(老害)サポーターからすると夢みたいである。それまでの札幌は、J1では実績の乏しい若手選手、出場機会の失われたベテラン選手、そして安めの外国人。このような方法でしか補強をすることは出来なかった。彼らは彼らでハングリー精神をもっていたりしてチームにいい影響を及ぼしたことも多いとは思うが、どこまで行っても「他J1チームからは必要なかった選手」であったこともまた事実。それに対して鈴木武蔵は、年齢的にもこれから脂の乗ってくる26歳、実績も前年にJ1で2桁得点、降格チームとはいえ他チームのエースの選手だったのを、引っこ抜いてきたわけだ。

 

 こうして我々北海道コンサドーレ札幌と、そして鈴木武蔵の夢をともに叶える日々が始まった。2節の浦和戦で2ゴール、早速力を見せつけると、3節の清水戦でも先制ゴール。そして吉原宏太以来のクラブから2人目のA代表に選出。その後も好不調の波はやや大きいものの、圧倒的なスピードと長崎で花開いたシュート力を武器に活躍。

 そして10月にはルヴァンカップの準決勝で、クラブ初の決勝進出を決めるこのゴール。

https://youtu.be/TiG9vbZSlqw

ここからの3週間の夢のような気分は、決して忘れることはないだろう。

 チームとしてだけでなく、本人も2年連続の2桁得点、ルヴァンカップ得点王、12月にA代表初ゴールを記録し、名実ともにコンサドーレのエース、顔の一人として成長した。そして今年はさらにパワフルに、開幕から絶好調。出場試合全てでゴールを決めてきた。

 

 そんな彼に海外のスカウトも目をつけ、今回のベルギー1部、ベールスホット移籍と相成ったわけだ。もちろんチームにとっては大きな痛手だが、コンサドーレから直接ヨーロッパの1部リーグに移籍するのは今回が初めて。そして、本人の昔からの夢である海外移籍となれば、引き止めることも難しい。だからこそ、鈴木武蔵には絶対に大きく活躍して欲しい。ベルギーで活躍して、ステップアップして、W杯に出て、ゴールを決めて、「あいつスゲーな」って札幌の我々に思わせるような選手になって、選手としての夢を叶えて欲しい。

 僕らは僕らで、J1の高みで戦い続けて、きっと夢を叶えるから。