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予算を超えてゆけ。J1を超えてゆけ。補強を考える(後編)

中編はこちら

この記事は北海道コンサドーレ札幌 Advent Calendar 2016投稿記事です。他の日の記事も面白いので是非ごらんください。また、この記事も前編、中編、後編の三部作になっております。そちらもお時間がありましたらお読みいただけるとうれしいです。


前編では今シーズンの選手出場データを、中編では他年度の昇格チームのデータを見たところで、後編の今日は、ここまでのデータを受けて、来シーズンの札幌に必要な補強を考えていこうと思います。

まず前編で見た選手の出場データから層の薄いポジションを見ていくと、

1、センターバック…増川選手が負傷で来年も半年は出られないので、河合選手しかいない
2、左ストッパー…櫛引選手が退団濃厚なので、完全移籍濃厚な福森選手しかいない
3、ボランチ…今シーズンかなり出場機会を得た選手で来季スタートから出場できそうなのは宮澤選手と前寛之選手のみ

この3つのポジションは、まず「人数」と言う意味で足りていません。ボランチは深井選手、稲本選手が戻ってくればまだ人数的には埋まりますが、ディフェンスラインは明らかに人数が少なすぎるので補強は必須でしょう。最低でも2人、出来れば3人は新戦力が必要だと思います。ボランチとDFライン両方できるような選手(河合選手のような)が1人いると、両ポジションで起用できるので特に良いかなあと思います。

 次に他のポジションを見ていくと、フォワード及びトップ下は不安もあります。と言うのは、日本人ダブルエースの都倉選手、内村選手はJ1で大きく活躍した実績がありません。都倉選手はJ1リーグ戦通算64試合で12得点、内村選手はJ1リーグ戦通算57試合4得点にとどまります。中編で見たように、1試合平均得点が0点台の松本は降格し、1点台の他3チームは残留しておりますので、1試合1得点以上(別にFWだけで取る必要はまったくないですが)は必要です。都倉選手や内村選手がJ1でイマイチだった場合に備え、最低1人、できれば2人の獲得が望ましいでしょう。また堀米選手がいなくなったので、左サイドの選手はできれば1人獲得したいですね。

 まとめてみましょう。
1、DFは出来れば3人
2、ボランチ1人
3、FW(と出来ればトップ下でも使える選手)1人
4、左サイド1人

計6人の補強が必要です。これらの選手は当たり前ですが「J1レベルの」選手でなければならないのです。たとえば菊地選手とかが最初来たときに「すごい」と思われましたよね。ああいうレベルの選手が5、6人必要、という結果なのです。うわー大変だ。


 しかし、ここで僕は考えてしまったわけです。もしかしてコンサドーレは来年、3バックではなく4バックを採用するつもりなのではないか?と。なぜなら、そうすると補強の人数を減らせるからです…!ちょっと見ていきましょう。

まず、4バックということは、センターバック(中央の2枚)は4人いればとりあえずOKです。そうすると、現状では河合選手、菊地選手、進藤選手、永坂選手といますので、菊地選手のレンタルを継続できれば実は人数は揃っているのです。レギュラークラスをあと1人取るだけで済みます。さっきまで3人必要だったのに!左サイドバックは福森選手しかいない現状は変わらないので、左サイドの選手が1人必要なのは先程と代わりません。右サイドバックは、マセード選手と石井選手がおり、また上原選手や進藤選手をこちらに回すことも出来ると思うので、補強は必要ありません。

中盤を4枚にするか、3枚にするかでまた変わっては来るのですが、ここでは3枚を推していきます。なぜなら札幌にはトップ下ポジションの選手が割合多いので、そこを使うならば3枚のボランチという方が望ましそうだからです。そうすると3センターハーフには宮澤選手、前寛之選手に加え、荒野選手や中原選手もここで使うことが可能ですね。なので人数的にはすでに揃っています。あとは1人、レギュラークラスをつれてこれれば言うことはないでしょう。

もちろん4枚の中盤でも大丈夫です、この際はボランチが1人必要なのは言うまでもありませんが、今度は左サイドにジュリーニョ選手や荒野選手、右サイドに石井選手やマセード選手、荒野選手がいますので、この場合サイドハーフは人数的には補強は必要ないでしょう(札幌のストロングポイントになってもらわなければ困るジュリーニョ選手やマセード選手にはある程度期待していかなければならないです)

前線は先程と代わりません。やはり1人は必要です。


こう見ると、4バックにした場合は、
1、センターバック1人
2、左サイド1人
3、ボランチ1人
4、FW(とトップ下)1人

と4人で、もしボランチセンターバック両方こなせる質の高い選手などが取れれば、人数的にはなんと3人でもいいのです!J1レベルの選手を獲得するにはお金がかかります。コンサドーレにはお金がありません。そうすると補強する人数を減らし、その分選手の質を高めておく必要があるのではないか、というのも考え方としてはありではないか?と考えます。


以上を踏まえ、予算その他は無視した脳内補強リストを挙げておくので、三上大勝氏はよろしくお願いいたします。

富澤清太郎選手(ジェフ千葉を契約満了、元横浜Fマリノス)…DFとボランチの両方のポジションで起用できる能力の高い選手
下平匠選手(横浜Fマリノス)…クロスの精度が非常に高い左サイドバック。2ndステージの出場が激減。
吉本一謙選手(FC東京)…森重、丸山、高橋秀人などの代表クラスの選手がいる中、いまいち出番がないセンターバック。1対1に強い。
野澤英之選手(FC東京)…ポポヴィッチ監督のときに若くしてデビューした逸材。ロングパスに特色のあるボランチ
皆川佑介選手(サンフレッチェ広島)…元代表FW。能力は高いが出場機会を失っている。
武井択也選手(松本山雅)…ガンバ、ベガルタ仙台などにいたが松本では終盤のクローザー役にされている、ボール奪取の出来るボランチ
石井秀典選手(徳島ヴォルティス)…堅守徳島を支えたセンターバック。山形でJ1経験を持つ
中村充孝選手(鹿島アントラーズ)…左サイドで起用可能、若干補強ポイントからずれるか
岩沼俊介選手(京都サンガを契約満了)…言わずと知れた選手。左サイドとボランチの両方をカバーできる。
奈良竜樹選手(川崎フロンターレ)…来年だけレンタルで帰ってこないかしら…?J1でのスタメンは確約できるかと思うのですがw

すでに補強の話もチラホラとは聞こえてきていますが(早くちゃんと発表してくれ!)来年コンサドーレに来てくれる選手たちに精一杯期待しましょう。




最後に心からのつぶやきを。

他年度昇格チームとの比較 2016北海道コンサドーレ札幌昇格データ(中編)

前編はこちら
中編の今日は、今年のコンサドーレと、過去2年に自動昇格した4チームの、J2→J1における各種データの変化を見ていくことにします。データは前編同様、Football LABのものを参照しました。
まずは北海道コンサドーレ札幌のデータを。

【2016北海道コンサドーレ札幌

チーム成績
 2016シーズン 勝ち点85(25勝10分7敗)65得点 33失点
 1試合平均勝ち点(小数第3位以下切り捨て) 2.02
 1試合平均得点(小数第3位以下切り捨て) 1.54
 1試合平均失点(小数第3位以下切り捨て) 0.78

2016シーズンチーム内得点(3位以内)
 都倉 賢 得点19
 ジュリーニョ 得点12
 内村圭宏 得点11

ではこちらを基準に、過去2年の自動昇格チームのデータを見てみましょう。

<2015シーズン>
【1位 大宮アルディージャ

チーム成績
 2015シーズン 勝ち点86(26勝8分8敗)72得点 37失点 → 2016シーズン勝ち点56(15勝11分8敗)41得点36失点 5位
 1試合平均勝ち点(小数第3位以下切り捨て) 2.04→1.64 
 1試合平均得点(小数第3位以下切り捨て) 1.71→1.20
 1試合平均失点(小数第3位以下切り捨て) 0.88→1.05

2015シーズンチーム内得点(3位以内)の翌シーズン得点数
 ムルジャ 得点19→ 得点6
 家長昭博 得点11→ 得点11
 横谷 繁 得点8→ 得点3

主な加入選手の2016シーズン成績(2016シーズン10試合以上先発出場)
 DF 奥井 諒 23試合先発出場 得点2 アシスト1
 DF 沼田圭悟 14試合先発出場 得点1 アシスト1
 MF 岩上祐三 13試合先発出場 得点1 アシスト0
 MF 江坂 任 23試合先発出場 得点8 アシスト1
 FW ペチュニク 12試合先発出場 得点1 アシスト0

主な退団選手の2015シーズン成績(2015シーズン10試合以上先発出場)
 DF 片岡洋介 12試合先発出場 得点1 アシスト2
 MF 渡邉大剛 10試合先発出場 得点2 アシスト7
 MF カルリーニョス 37試合先発出場 得点2 アシスト8

<感想>
戦力流出はなかった印象の大宮でしたが、前年のチームアシスト王カルリーニョス選手を放出していたんですね。その穴を金澤選手が埋めたという感じでしょうか。コンサと比べると、J2時代は得点はより多く、失点もより多いでしょうか。ただ今回みた4チームの中では最もJ2時とJ1時の変化が小さいです。そのあたりが躍進した成績に繋がったということでしょう。ロースコアのゲームでしっかり勝ち点を取っていく戦いぶりが継続できた感じですね。


【2位 ジュビロ磐田

チーム成績
 2015シーズン 勝ち点82(24勝10分8敗)72得点 43失点 → 2016シーズン勝ち点36(8勝12分14敗)37得点 50失点 13位
 1試合平均勝ち点(小数第3位以下切り捨て) 1.95→1.05
 1試合平均得点(小数第3位以下切り捨て) 1.71→1.08
 1試合平均失点(小数第3位以下切り捨て) 1.02→1.47

2015シーズンチーム内得点(3位以内)の翌シーズン得点数
 ジェイ 得点20→ 得点14
 アダイウトン 得点17→ 得点6
 小林祐希 得点6→ 得点5

主な加入選手の2016シーズン成績(2016シーズン10試合以上先発出場)
 DF 大井健太郎 30試合先発出場 得点1 アシスト0
 DF 中村太亮 27試合先発出場 得点1 アシスト1
 DF パパドプーロス 12試合先発出場 得点1 アシスト0
 MF 山本康裕 19試合先発出場 得点0 アシスト1

主な退団選手の2015シーズン成績(2015シーズン10試合以上先発出場)
 DF 駒野友一 26試合先発出場 得点1 アシスト3
 DF 伊野波雅彦 32試合先発出場 得点1 アシスト0

<感想>
戦力的には伊野波選手がやっぱりレベルが高かったのかなあ感じます。失点がかなり増えていますからね。大井選手やパパドプーロス選手は穴は埋めてはおり、だから残留も出来たのでしょうけれども。得点の方はアダイウトン選手が落ち込んだ分がそのまま影響が出ているでしょうか。ジェイ選手は長期離脱もあるので、J1とJ2でそれほど得点が変わっていない印象で、単純に日本では強いのでしょうか。あとは小林祐希選手がオランダ移籍したのも結果的に痛かったのかもしれません。とはいえ、来季コンサドーレが目指すべき目標のような各種の数値だと思います。



<2014シーズン>
【1位 湘南ベルマーレ

チーム成績
 2014シーズン 勝ち点101(31勝8分3敗)86得点 25失点 → 2015シーズン 勝ち点48(13勝9分2敗)40得点 44失点 8位
 1試合平均勝ち点(小数第3位以下切り捨て) 2.40→1.41
 1試合平均得点(小数第3位以下切り捨て) 2.04→1.17
 1試合平均失点(小数第3位以下切り捨て) 0.59→1.29

2014シーズンチーム内得点(3位以内)の翌シーズン得点数
 ウェリントン 得点20→ 退団
 岡田翔平 得点14→ 得点0
 武富孝介 得点9→ 退団

主な加入選手の2015シーズン成績(2015シーズン10試合以上先発出場)
 DF アンドレ・バイーア 30試合先発出場 得点0 アシスト0
 FW 高山 薫 33試合先発出場 得点7 アシスト4

主な退団選手の2014シーズン成績(2014シーズン10試合以上先発出場)
 DF 宇佐美宏和 14試合先発出場 得点2 アシスト1
 DF 亀川諒史 14試合先発出場 得点1 アシスト0
 DF 丸山祐市 41試合先発出場 得点2 アシスト2
 MF 岩尾 憲 18試合先発出場 得点0 アシスト2
 FW ウェリントン 37試合先発出場 得点20 アシスト4
 FW 武富孝介 36試合先発出場 9得点 アシスト4

<感想>
正直驚きました。ここまで試合で活躍していた選手を皆放出していたなんて…これで一桁順位なのですから、あのときの湘南は本当にすごいチームだったのです。得点も失点も共に大きく数値が悪化しているのは、戦力が流出した状態でJ1に臨んだからだと言えるでしょう。その穴を埋めきれなかった部分はあるのでしょうが、補強した選手の他に元からチームにいた選手たちが試合に出ています。J2時代の全てのデータが今シーズンのコンサドーレより上ですが、コンサはここまでの大規模な戦力流出はなさそうですから、そういう意味ではどちらもあまり参考にならないかもしれません。

【2位 松本山雅FC

チーム成績
 2014シーズン 勝ち点83(24勝11分7敗)65得点 35失点 → 2015シーズン勝ち点28(7勝7分20敗)30得点 54失点 16位
 1試合平均勝ち点(小数第3位以下切り捨て) 1.97→0.82
 1試合平均得点(小数第3位以下切り捨て) 1.54→0.88
 1試合平均失点(小数第3位以下切り捨て) 0.83→1.58

2014シーズンチーム内得点(3位以内)の翌シーズン得点数
 船山貴之 得点19→ 退団
 岩上祐三 得点8→ 得点4
 山本大貴 得点7→ 退団

主な加入選手の2015シーズン成績(2016シーズン10試合以上先発出場)
 DF 酒井隆介 33試合先発出場 得点2 アシスト0
 DF 後藤圭太 10試合先発出場 得点0 アシスト0
 MF 前田直輝 18試合先発出場 得点3 アシスト0
 FW オビナ 29試合先発出場 得点6 アシスト4

主な退団選手の2014シーズン成績(2015シーズン10試合以上先発出場)
 DF 多々良敦斗 26試合先発出場 得点1 アシスト1
 DF 犬飼智也 42試合先発出場 得点6 アシスト4
 FW 船山貴之 42試合先発出場 得点19 アシスト6
 FW 山本大貴 10試合先発出場 得点7 アシスト1
 FW サビア 24試合先発出場 得点4 アシスト0

<感想>
湘南同様に大きな戦力流出をしてしまい、その穴を埋めきれずに降格してしまったといえるでしょう。船山選手は言うまでもなく、ディフェンダーで全試合出場の犬飼選手がレンタル加入だったのが響いた感じです。表には載っていませんが、阿部吉朗選手を2015シーズンに獲得しスーパーサブとして5得点決めているので、これで山本大貴選手の穴が埋まり、サビア選手→オビナ選手という外国人の入れ替えにも成功した感じですが、船山選手に頼っていた分の得点がなくなった分がまるまる抜けてしまったのが痛かったのでしょう。コンサと比較すると得点者の偏り方はあまり似ていませんが、昇格シーズンの1試合平均得点は同じです。これくらい得点が落ち込んでしまうと、守備にも悪影響を及ぼしますし厳しい戦いになってしまうかなと言う印象です。


<まとめ>
こうやって過去2年間の昇格時データを見てみると、勝ち点、得失点などの点で今年のコンサドーレに最も近いのは2014松本だなあという印象です。なかなか現実は厳しい。ただ、松本は19得点を挙げた船山選手が移籍してしまいましたが(移籍先の川崎フロンターレでは成功できず)、札幌は都倉、ジュリーニョ、内村という2桁ゴールトリオは揃って残留する見込みである点が異なり、その点については当時の松本より期待が持てると言ってもいいのではないでしょうか。もっとも、3人共J1では活躍した経験があるとはいい難いのがやや不安点ではありますが… 出来れば磐田くらいの成績が取りたいところです。


後編:来季の補強について

全選手解剖!2016北海道コンサドーレ札幌昇格データ(前編)

 三編に分けて、2016シーズンの振り返り、そして来季に向けて考えていこうという、珍しく超真面目企画の予定です。
後編はAdventCalendar 2016投稿記事となります。全体的にとても長くなりますので、お時間のあるときにどうぞ。


 前編の今日は、出場した選手たちのデータを並べ、今後の分析の材料とします。
選手の順番はそのポジションで先発した試合数順とし、同試合だった場合は出場試合数順、次いで出場時間順、背番号順とします。つまり、そのポジションの上位にいるほど、試合出場でチームに貢献した選手ということになっています。なので、例えばジュリーニョ選手がトップ下とFWと左ウイングバックでそれぞれ先発している時、ジュリーニョ選手の名前はそれら全てのポジションの欄に「そのポジションで先発した試合数の順」にあることになります。ただ、途中出場の場合はポジションが変更されている場合もあるので、出場試合数、得点、アシスト等のデータは全ポジションを合わせたものを採用しました。
データはFootball Labのものを参照しました。

GK
ク・ソンユン 33試合先発 33試合出場 得点0 アシスト0 
金山 隼樹 8試合先発 9試合出場 得点0 アシスト0
阿波加 俊太 1試合先発 1試合出場 得点0 アシスト0
<出場なし>
杉山 哲  →負傷、来シーズンはキャンプから合流か

【評】
J2にしては非常のレベルの高い争いをしているGK陣。ク選手がNo.1GKとして君臨したが、彼の代表戦における不在時を主に金山選手が守り、そしてユース出身の阿波加選手も京都戦で出場を果たし、勝利に貢献した。杉山選手は6月にアキレス腱断裂の大怪我を負ってしまい、試合に絡むことはなかったものの、終盤で練習に復帰しつつあるとの情報を得ている。

右ストッパー
進藤 亮佑 21試合先発 23試合出場 得点0 アシスト1
菊地 直哉 17試合先発 17試合出場 得点0 アシスト0 →レンタル中
櫛引 一紀 3試合先発 17試合出場 得点0 アシスト0 →退団(レンタル)濃厚
永坂 勇人 1試合先発 3試合出場 得点0 アシスト0

【評】
右のストッパーでは、進藤選手と菊地選手が出場試合数を主に分け合った。春から夏にかけては進藤選手、夏に鳥栖から菊地選手が移籍してきたことにより、後半は主に菊地選手が出場した。2年目の進藤選手は思い切りのいい攻撃参加でアシストを記録した試合もあったが、その反面裏を狙われ失点に関与するシーンも見られた。またシーズン途中でコンディション不良になってしまった点もあり、来季はより安定したパフォーマンスが求められるだろう。一方菊地選手は自陣からのパスで攻撃のビルドアップを担う事が多く、守備に安定をもたらしたが、こちらも終盤戦に動きが鈍ってしまった。櫛引選手や永坂選手は主に途中出場でその穴を埋めた。

センターバック
増川 隆洋 32試合先発 33試合出場 得点1 アシスト0 →負傷、来シーズンは途中から復帰か
河合 竜二 10試合先発 15試合出場 得点0 アシスト1
<出場なし>
内山 裕貴 →退団

【評】
全42試合をこの2人の「ビッグフット」なベテランで乗り切った。増川選手はストライドの大きさでギリギリのピンチを何度も防ぎ、ディフェンスラインに安定をもたらした。また散らすパスも巧みで、最終ラインでのパス回しに不安がなかった。河合選手は終盤の試合で特に力を発揮した。特に41節千葉戦の内村選手へのアシストは、今シーズンのコンサドーレを象徴するようなパスだった。増川選手はシーズン最終盤に左膝の前十字靭帯を部分断裂する大怪我を負ってしまっているので、来季開幕時点では今シーズンを戦った選手でこのポジションは河合選手しかおらず、現状チームのウィークポイントとなってしまっている。

左ストッパー
福森 晃斗 36試合先発 39試合出場 得点3 アシスト10 →レンタル中
櫛引 一紀 5試合先発 17試合出場 得点0 アシスト0 →退団(レンタル)濃厚
増川 隆洋 1試合先発 33試合出場 得点1 アシスト0 →負傷

【評】
今シーズンの札幌の軸の一つであった福森選手がこのポジションを主に守った。チームトップのアシスト数だけでなく、チーム内のパス交換ランキングにおいても1位〜9位までが福森選手絡みであり、DFでありながら今シーズンの札幌のゲームメーカー、司令塔は福森選手であったといえる。櫛引選手は福森選手がウイングバックでの出場時に主にこのポジションに入った。福森選手と比べるとパス能力で劣る分堅実な守備を発揮し、櫛引選手がこのポジションで出場した5試合の失点はわずかに2である。

ウイングバック
マセード 22試合先発 23試合出場 得点0 アシスト3
石井 謙伍 13試合先発 27試合出場 得点1 アシスト0
荒野 拓馬 3試合先発 18試合出場 得点2 アシスト2
前 寛之 2試合先発 18試合出場 得点0 アシスト0
上原 慎也 1試合先発 22試合出場 得点1 アシスト0
前 貴之 1試合先発 2試合出場 得点0 アシスト0 →退団(レンタル)
<先発なし>
イルファン 0試合先発 1試合出場 得点0 アシスト0 →退団

【評】
シーズンを通してもっともスタメンが入れ替わったポジションの一つだろう。マセード選手は出場した試合では良い動きをしており、クロスなども非常にレベルが高く、またブラジル人らしからぬ(?)真面目さで守備も頑張るという優秀な選手だった。しかし残念ながら負傷が多く、また得点もなかった。その負傷の穴を主に埋めたのが石井選手で、豊富な運動量を活かし攻守に活躍したが、クロスの精度などがイマイチでアシストがなかった。荒野選手もこのポジションでも計算できる選手であるが、彼も負傷が多く出場試合数を伸ばせなかった。競争は激しいと言えるが、出来ればある程度レギュラーを固定したいポジションではある。

ウイングバック
堀米 悠斗 25試合先発 33試合出場 得点0 アシスト5 →退団濃厚
石井 謙伍 9試合先発 27試合出場 得点1 アシスト0
福森 晃斗 3試合先発 39試合出場 得点3 アシスト10 →レンタル中
ジュリーニョ 2試合先発 34試合出場 得点12 アシスト3
荒野 拓馬 2試合先発 18試合出場 得点2 アシスト2
前 貴之 1試合先発 2試合出場 得点0 アシスト0 →退団(レンタル)

【評】
こちらも右ウイングバック同様、よくスタメンが入れ替わった。序盤は主に石井選手や福森選手が使われたが、夏場以降は主に堀米選手に固定されたので、右ウイングバックほど交代したイメージはない。その中で堀米選手は左ストッパーの福森選手とコンビネーションを使って(チーム内パス交換数1位と3位である)、左サイドを攻略した。惜しいシュートもあったが、ゴールできなかったのは残念だ。ジュリーニョ選手は終盤、左サイドも個の能力で突破しきってしまいたい試合でスタメンで使われ、33節町田戦では左ウイングバックで2得点1アシストと大活躍した。

ボランチ
宮澤 裕樹 26試合先発 31試合出場 得点1 アシスト1
深井 一希 24試合先発 25試合出場 得点0 アシスト1 →負傷、来シーズンは途中から復帰か
上里 一将 13試合先発 18試合出場 得点0 アシスト1 →退団
前 寛之 12試合先発 18試合出場 得点0 アシスト0
堀米 悠斗 4試合先発 33試合出場 得点0 アシスト5 →退団濃厚
稲本 潤一 4試合先発 8試合出場 得点1 アシスト0 →負傷、来シーズンは途中から復帰か
荒野 拓馬 1試合先発 18試合出場 得点2 アシスト2

【評】
前半戦は主に宮澤選手と深井選手のコンビで、深井、稲本の両選手が負傷した後、上里選手、前寛之選手らに出番が回ってきたポジション。特にボランチを主戦場としていた上の4選手が、得点もアシストも非常に少ない。これは中盤でのビルドアップには絡むが、ボランチからFWまで通るようなパスは出さず、比較的後ろに残り気味で追い越していった堀米選手、福森選手らをつかって攻撃を組み立てていったことがわかる。後ろに残っていたおかげで失点が少なかった部分もあるのかもしれないが、もう少し彼ら自身も前線へ出ていって、攻撃に絡んで欲しいところではある。例えば第9節セレッソ大阪戦の稲本選手のゴールや、第19節ギラヴァンツ北九州戦の宮澤選手のゴールなどが、ボランチの選手が最前線まで絡んでいく攻撃が出来ていたシーンであり、迫力のある攻撃が展開されていたと言える。

攻撃的MF
ジュリーニョ 12試合先発 34試合出場 得点12 アシスト3
ヘイス 9試合先発 24試合出場 得点7 アシスト2
荒野 拓馬 9試合先発 18試合出場 得点2 アシスト2
宮澤 裕樹 4試合先発 31試合出場 得点1 アシスト1
菅 大輝 2試合先発 5試合出場 得点0 アシスト0
堀米 悠斗 1試合先発 33試合出場 得点0 アシスト5 (第5節京都戦、3ボランチ気味の試合)
上原 慎也 1試合先発 22試合出場 得点1 アシスト0 (第38節熊本戦)
前 寛之 1試合先発 18試合出場 得点0 アシスト0 (第5節京都戦、3ボランチ気味の試合)
小野 伸二 1試合先発 15試合出場 得点0 アシスト0
神田 夢実 1試合先発 6試合出場 得点0 アシスト0 →退団
中原 彰吾 1試合先発 4試合出場 得点1 アシスト0

【評】
意外な選手が攻撃的MFとして試合に出場していることになっていたので、彼らについてはどの試合なのかを明記した。このポジションでは何と言っても2人の外国人選手後からが大きかった。ジュリーニョ、ヘイスの両選手は共に「違いを作れる」選手で、出場した試合では明らかに攻撃の核の一つとなることが出来ていた。ヘイスがやや負傷がちで、序盤もコンディションが整わず出場試合数はやや少なめだが、来季に期待したい。荒野選手も負傷により試合出場は決して多くはなかったものの、第21節函館での横浜FC戦での1得点1アシストの活躍などがあった。一方やや残念だったのは開幕戦のみ先発の小野選手や、神田、中原のユース出身選手だろう。小野選手はボールタッチは見事なだけに、もっと試合に絡めれば良いが、今シーズンは外国人選手の好調もありなかなか出番が与えられなかった。中原選手はゴールとなったシュートは見事だっただけに、もっとあのような場面を生み出せるようにしていかなければならないだろう。

FW
都倉 賢 40試合先発 40試合出場 得点19 アシスト7
内村 圭宏 24試合先発 42試合出場 得点11 アシスト2
ジュリーニョ 13試合先発 34試合出場 得点12 アシスト3
ヘイス 6試合先発 24試合出場 得点7 アシスト2
荒野 拓馬 1試合先発 18試合出場 得点2 アシスト2 

【評】
体調不良で1試合、累積警告で1試合の計2試合以外は全試合先発の都倉選手と、先発サブ双方ありながらチーム唯一の全42試合に出場した内村選手で計30得点を決め、またヘイス選手のコンディションがまだ上がっていない序盤にはジュリーニョ選手、中盤コンディションが上がってくるとヘイス選手が活躍するなど、誰が出てきても得点が期待できたのは今シーズンの大きなストロングポイントであった。来シーズンも同じくらい活躍してくれれば最高だが、果たして。

中編:他チームの昇格時の各種データの変化