ぉゔぇ記

好きなことを好きなように書きます。

夢は叶って、そして叶わなかった

 コンサドーレを、タイトルのかかった試合で応援するのは自分の長年の夢だった。

 

 決勝戦を見るたびに、どうやったらこういう舞台に立てるようなチームになるんだろうかと思っていた。日本代表がいっぱいいるようなチームにならなきゃダメなんだろうか。サポーターがいつもあふれるようなチームにならなきゃダメなんだろうか。スポンサーがいっぱいついて、いつも何億もの年俸をどんどん払っていけるチームにならなきゃダメなんだろうか。歴史のある名門チームじゃなきゃダメなんだろうか。いろんなことを考えて、当時のコンサドーレには足りないものが多すぎた。俺の生きている間に決勝に進む日が来るんだろうか、なんて考えた。

 

 うらやましかった。コンサドーレは、絶対にここにいるチームには負けない、すごく素敵なチームなのに。日本一素敵な街にある、こんなにかっこいいチームなのに。どうして資金がないんだろう、どうして弱いままなんだろう、どうしていい選手がすぐいなくなっちゃうんだろうと思い続けてきた。どうにかしたかったけど、現実のコンサドーレは、J2かJ1の最下位で、貧乏なチームだった。1000万円以上の年俸をもらっている選手は「高給取り」だった。自分たちと彼らには大きな差があって、サポーターの自分たちにはどうしようもなくて、もどかしくて、悔しかった。

 

 外から見ている人たちにはミシャ就任で一気に飛躍したように見えるかもしれないコンサドーレだけど、自分たちから見たときには一つ一つ積み上げてきたように感じる。宮澤、荒野、深井、進藤、菅といった生え抜きやユースの選手は、弱いときのコンサドーレを知っている土台だ。野々村社長が就任し、土台を土台で終わらせない資金力が出来てきた。生え抜きの選手たちを河合、石川、早坂、小野、稲本、菅野ら経験のある選手が育ててきた。そこに三上さんが性格の部分まで調べて連れてきた移籍選手たち、外国籍選手たちが力を加えてくれている。

 

 決勝は、こういうクラブじゃないと出られない、というものではなかった。今までの自分たちの、コンサドーレの集大成だった。自分たちの歩みを突き詰めたところに、自分の夢見てきたファイナルはあった。

 

 選手たちは今持っている力をすべて出した。目を覆うような危ないパスミスもあったし、すげえじゃんと思えるような素敵なプレーもあった。いつものコンサドーレの選手たちであり、いつもよりちょっとばかり気合が入ってもいた。自分たちも、最初から最後までいつものように、でもいつもよりはちょっと気持ちが入って応援できた。ピッチ上とスタンドとが呼応した、素敵なチームだった。日本全国のサッカーにかかわっている人たちに、どうだよ、俺たち最高だろ。これがコンサドーレだよ、これが俺の愛してやまない、俺がずっと見てきたコンサドーレなんだよ、って見せたかったチームがそこにあった。

 

 でも結果は及ばなかった。間違いなく今の最高のコンサドーレは、負けた。すぐそこに勝利があったかもしれないが、足りなかった。チームとして戦った自分たちは、間違いなくチームとして負けた。

 

 でも、おかげで新しい夢が出来た。いつか近いうちに、優勝のかかった試合にもう一度来る。どんな形でもいいからそれに勝つ。今回届かなかったタイトルを取る。もう、生きている間に来れるかななんて思わない。

 コンサドーレは、俺たちはそれに値する。